事業者名  上毛電気鉄道株式会社
事例名称  上下分離方式の支援による鉄道整備
概要
 客の減少から経営不振となり、設備投資のできない県内の鉄道に対して、自治体が全額負担して近代化投資を行い、さらに基盤の維持についても、基本的に負担するという上下分離方式を導入した。群馬型上下分離は、上下の主体を分離することなく、県と市町村が下の維持管理と上の一部(車両の修繕)の経費を事業者に補助する方式である。電路・線路等の基盤部分(下)は行政に任せて、列車の運行(上)は会社が行うというもの。
取組の様子
上毛電気鉄道上毛線
協力者・関係者
群馬県
沿線7市町村(前橋市、大胡町、宮城村、粕川村、新里村、大間々町、桐生市)
背景
 上毛電気鉄道鰍ヘ旅客の減少から、昭和51年度から鉄軌道整備法による欠損補助金の交付を受けてきたが、打切り決定を受けて、群馬県及び沿線7市町村が打ち切り後の対応を検討・協議した。
 平成8年に沿線一帯から鉄路を存続させようとする機運が高まり、沿線7市町村と県、関係者で上毛線再生等検討委員会が発足、2年にわたり検討した結果、10年1月に上毛線再生の基本方針が決定され、それに基づき、上下分離方式を平成10年度より導入。
内容
 欠損補助打ち切り後、上毛電気鉄道且ゥらが最大限の努力を傾注し、収入の確保、設備の近代化、経営の合理化、サービス改善等を行うことにより再生を図ることを前提として、沿線市町村および群馬県等は再生を促進し、経営の安定化を図るため公的支援を行うもの。

鉄道事業者、沿線自治体の概要
事業形態   :第一種鉄道事業者
営業キロ   :25.4km
輸送人員(平成14年度):2,084千人
主な沿線自治体及び人口(平成15年3月末):前橋市 283,398人、桐生市 113,525人
効果
 自治体による上下部分離方式の支援により、平成10年度より現在に至るまで事業を存続しているが、経営状況は非常に厳しいものとなっている。 
成功(失敗)理由
近代化設備整備による省力化の推進による営業費用の削減とあわせて、様々な施策を展開した誘客活動による収入確保を柱にした経営再建計画を策定したこと。
設備の近代化や輸送環境の整備は、公的支援により以前よりレベルアップが図られたこと(しかし、輸送需要の減少から経営状況は予断を許さない状況)。
関連事業利益を全て鉄道赤字の補填に充当し内部補助しているほか、保有財産を切り売りし、鉄道運営維持のために自助努力を行っていること。
鉄道存続に向けて地域の関係者が真剣に議論し、鉄道事業者の経営努力と県、沿線市町村による支援の一形態としてモデルケースと考えられる群馬型上下分離方式を選択したこと。
今後の課題
上記のような営業努力を続けているものの、売却可能な保有財産にも限りがあるほか、輸送量の減少が想定されているため抜本的な再生策として、駅周辺に人の流動を促す施設の誘致や都市計画の見直しなどにより沿線環境の劇的変化がない限り、厳しい経営見通しとなっている。
今後、沿線のまちづくり、自治体以外の幅広い地域関係者などとの連携を図り、いかに事業者と地域の一体となった取組を進めるかが課題。
お問い合わせ先  関東運輸局